ハァイ!!たちかわです!!!
やってまいりました〜〜( ゚∀゚ノノ゙パチパチパチ
本日7月23日は芹生夏生!なつきにいさん!
夏生兄さんの日ですよぉーーーー(もちろん非公式)
すみませんーーー勝手に……しつこいですね……
Pixivにちょっとした企画絵?をアップしておりますので
ご覧頂けるととっても嬉しいですー(´∀`∩
【妄想セブンデイズ】芹生夏生×篠弓弦 | 刀川えいり@新刊準備中 [pixiv] http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37252776
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せっかくなので、↑の続きにあたるお話を書きました(短いですが)
◇眠るときは猫のように◇
その男は、こちらに背を向けて。
ほこりっぽい体育倉庫の闇に溶け込むように、本当はそこにいないんじゃないのかと疑うくらい静かに。
あまりにもひっそりと、横たわっていた。
「し、……死んでる」
……わけはない。
寝息はまったく聞こえてこないし、俺が無遠慮に音を立てて扉を開けたにもかかわらず、起きる気配がないけれど。
肩が、少しだけ上下している。ちゃんと、呼吸をしている。
しかし……。
こんなところに人間が寝ているなんて、意味がわからない。
たとえば、不本意にも強要されてここにいる……わけではなさそうだ。だって、扉にカギはかかっていなかった。いつでも出られたはずだ。脱いだ制服の上着を体にかけているあたり、ちゃんと自分の意思でこの場所に眠っているのだ、この男は。
(まぁ、サボって寝るには最適かもしんねーけどさ)
でも、ここは狭いし、暗いし、カビくさい。一応小さな窓はついているが、そこから差し込む日の光はわずか。さまざまな体育用器具が押し込められているこんな場所では電気をつけないと歩きまわるのも困難だし、いつ何が崩れ落ちてくるかわかったもんじゃないのに。
(変なヤツ……)
興味がわいた。いったいこの男は、何者なんだろう?
さっきのけたたましい音で起きなかったくらいだ、今さら人の気配ぐらいではピクリともしないはず。
俺は、せめて顔ぐらい拝んでやろうと近づいた。一応、音は立てないように、そっと。
あと少しで、のぞきこめる……。
「わっ!?」
俺の足が、乱雑に並べられていたハードルに引っかかった。
身体能力に自信はあるほうだが、室内に目が慣れていないままでは体勢を立て直すことができず、俺はそのまま無様に倒れた。
……よりにもよって、眠っている、謎の男の上に、だ。
「ぎゃうっ!」
「……っ」
情けない声を上げたのは、俺。俺の全体重を受け止め(させられ)た男からは、息がつまったような呻き声がわずかに聞こえてきただけだった。俺は、床にたたきつけられたカエルみたいな格好で固まった。全身から冷や汗が吹き出る。
ま、まずい。謝らないと……。って、もしこいつがすげーガラの悪いやつだったらどうしよう!? ……そうだ、ヤンキーに違いない。絶対。授業をサボってこんな所で寝ているヤツがまともなわけあるか!
に、逃げなきゃ……、逃げ……。
震える足でなんとか立ちあがり、俺はその場から離れようとした。
が。
「……おい」
背中にナイフを突きつけられ『殺すぞ』と脅された! ……と錯覚する程度に、男の声は怒気で満ちていた。
当たり前だよな、暴力的に安眠を妨害されたんだから。
ちらりとネクタイが見えた。青。3年。
……ああ、終わった。俺の学園生活は終わった。せっかく弓道の特待生として邦華学園へ入学できたのに。これから俺は助けを呼んでも誰もこない体育倉庫で先輩ヤンキーにボコられ、カツアゲされ、クラスどころか学年全員にシカトされて、ぼっちで便所飯を食うんだ。さよなら平穏な学園生活。彼女のひとりぐらい欲しかったな……。
「おい」
「…………」
「おいって」
「……………………」
「もしもーし。聞いてんの? シノユヅル」
(……………………ん?)
男が、俺の名前を呼んだ。声がする方に視線を向けてみる。
男は寝転がったまま、片腕で頬杖をついていた。薄暗さに慣れてきた俺の目が、男の表情をとらえる。……思わず息をのむほどに、恐ろしく端正な顔立ちがこちらをじっと見つめていた。はっきりした切れ長の二重に、すっと高く整った鼻、口角が上がったかたちの良い唇。文句のつけようが無い、万人が認めるであろういわゆるイケメンだ。彼は、無駄な肉がないシャープな顔のラインを強調するように、ぐっと顎を上げて続けた。
「あんた、……篠だろ。1年4組の、篠弓弦」
うわー。声までカッコイイし。
つーか、……寝起きだからかな。けだるそうで、……エロい。
「……え、ええと、なんで俺の名前知って……」
「だーって、有名じゃん。弓道の王子様」
「は?」
「今年のスポーツ特待生のなかでも、あんたが1番注目されてるってよ」
「い、いや。べつに、そんなことないですけど……。っていうか、王子って、何すか、それ」
「知らねー。クラスの女共があんたのことそう呼んでんの聞いたから」
「ハァ」
表情からはいまいち読み取れないけど、この人……怒ってはいない、のかな。
「で、こんなトコで何してんのあんた」
謎のイケメンがあくびをしながら俺に問いかけた。
それはこっちのセリフだっつーの。
「四時限目体育だったんで、ボール片付けにきただけです」
「ふうん」
「せ、先輩こそ何してたんです、か。こんなところで」
「見りゃわかんだろが。昼寝だよ昼寝」
そりゃわかるよ。わかるけどさ。俺はどーしてこんなところで寝てたのかを聞きたいんだよ。
……なんか、緊張の糸がとけたら急に腹減ってきた。やべ、早く戻らないと昼休みが終わっちまうな……。
「あ……あの、俺もう行きます。お昼寝の邪魔してスミマセンでした」
「っそ。またな」
「え!?」
「あ?」
「いや、また……って、もう会うことはないんじゃないですか」
「なんで?」
「なんでも何も、俺たち学年も違うし……」
「違うけど、毎日同じ学園内にいるわけだろ。現に今日こうして会ったじゃん」
「ぐーぜんでしょ」
「偶然という名の必然ってこともある」
「イミがわかんないです」
「くっ……あははは。俺も」
「はぁ……?」
なんなんだこの人。やっぱおかしい人なのか?
無駄に美形だからこそ、得体のしれない怖さが際立つ……。
(逃げよう)
「おお、お、俺……戻りますから。さようならっ!」
「弓弦」
ドクン、と心臓がはねた。名前を……呼ばれただけなのに。
「……なつき」
「え?」
「芹生夏生ってゆーの。俺の名前」
せりょう、なつき。
低くやわらかな声で彼は言った。
「じゃあな、弓弦」
これが、夏生と俺の……出会いだった。
■続く?■