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【セブンデイズ】お題でSS その3

3つ目は【セブンデイズ】芹生×弓弦です。

●せりょゆづで創作するならお題は……●
 愀の笑顔』 ◆悗困崘┐譴琶き合う』 『子ども扱いしないでくれ』

 


「あーっはっはっは! マジありえねー! 今どきコントでもねーよ、こんなの」

心配をしてくれるどころか、へたりこんで大笑いする弓弦さんのつむじを見つめながら、俺は溜息をつく。
ああ、ブレザーが水分を含んで重い。保健室に替えの制服は常備してあるものなのだろうか。

「……室内プールに迷い込んだ子犬を保護しようとしたら、足を滑らせて俺だけ水の中に落ちるなんてね……」
「やめろ冷静に解説すんな! いてて、腹いって。身体を張ったギャグをどうもありがとう冬至くん。1週間分ぐれー笑ったわ」
「……どういたしまして」

もちろん、俺は弓弦さんに笑いを提供したつもりなど、かけらもない。
しかし、大学受験真っ最中で殺気立っている彼の笑顔を見るのは久しぶりだ。
複雑だが、結果オーライということにしておこう。

「で、いつまで抱き合ってんの、おめーらは」
「はっ?」

弓弦さんが、不自然に膨らんだ俺の胸元に人差し指を突きつけた。
制服の中からもぞもぞと這い出てきたのは1匹の白い子犬だ。

「誤解を生むような言い方はやめてよ、弓弦さん」
「抱き合ってんじゃん、さっきから。なんで俺には懐いてくんないわけ? 芹生にくっついてたら、おまえまでずぶ濡れになるぞ、ほらこっち来い」

弓弦さんが、子犬にむかっておいでおいでをしたけれど、子犬は小さい声でクゥンと鳴いたあと、再び俺の胸の中へ隠れてしまった。ふわふわした毛が素肌に触れて、くすぐったい。

「む、ムカつく。……さてはおまえメスだな? そうだろ。俺、犬にまでフられるとは思ってなかった……」
「弓弦さん……。何、自虐的になってるの」
「べ・つ・にー」
「怒ってる?」
「おこってねーよ」

さっきまで大笑いしていたのに、弓弦さんの表情はまた曇ってしまった。
どうやら受験のせいで若干情緒不安定になっているらしい。そういうところ、紫乃に似てるよ。
……なんて口に出したら、絶対怒られるだろうけど。

「そろそろ五時限目始まるな。……あーあ、かったりー。せりょー、その犬どーすんの?」
「とりあえず、保健室で着替えるついでに先生に相談してみるよ」
「……お、静かになったと思ったら、寝てんじゃんコイツ」

弓弦さんが俺の胸元を覗き込んで、眠っている子犬の耳をつついた。

「ホントだ」
「……よっぽどおまえの体温が気持ちいーんだな。そーいやおまえ、いっつも無駄にあったかいけど平熱何度くらいあんの?」
「無駄にって、うーん……。37.2……3? くらい」
「高っ! 子供みてーな奴だな」
「どうして?」
「体温高いってよく言うじゃん。つーか、考えてみればおまえ去年まで中学生だったんだよな」
「もう……。馬鹿にしてる? 子供じゃないよ」
「2コ下、っつー時点で俺にとってはおまえはガキなの。年上に歯向かうな」
「子供じゃないってば。……証明してみせるよ」
「おー? どうやっ……」

俺は弓弦さんの腕を掴み、彼の視界を塞いだ。
目を見開いたまま硬直している弓弦さんの唇は、あっさりと俺の侵入を許す。

「……んっ!! ……っはぁ、はぁ……。せっ、芹生……」

プールサイドにへたり込んでしまった弓弦さんが、涙目で俺を睨みつけた。
前言撤回してくれるよね、弓弦さん。

子供にはこんなキス、できないでしょ?


■終■

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