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【バレンタインSS】せりょゆづの2月14日

こんばんは。2月14日です。バレンタインでございます。
世間一般的には男女がキャッキャウフフする日かもしれませんがココではそんなの関係ねえ!こちとらBLであたまがいっぱいなんですよ。メンズをキャッキャウフフさせることに命かけているんです。言い過ぎました。

でも、弓弦さんと芹生はウフフしてるとは限りません……(●`w´●)

よろしければ、今年もお付き合いください。



「弓弦さん、お待たせ」
「あー、待った待った。ちょーハラ減った。なんかオゴれ」
「はいはい」
「んー……。どこがいっかなー……。がっつり食いてー」
「帰ったらすぐ夕飯でしょ、大丈夫?」
「30分経ったらハラ減るからいーんだよ」
「そ、そう。じゃあ、ラーメン行く?」
「麺の気分じゃねーし」
「吉牛とか」
「肉っつー気分でもないかなー。……そうだ、今日はカレーって感じ。俺の胃がカレーライスを欲している」
「カレーのリクエストなんて、めずらしいね。どこがいいかなぁ……」
「芹生」
「ん?」
「今年のバレンタインは中止な」
「……はい?」

いつもの放課後。いつもの帰り道。
俺はいつものように、部活を終えてやってくる芹生を1年の玄関前で待っていた。
ただひとつ、『いつも』と違うのは、今日が2月14日ということ。

「ど、どういうこと?」
「なんか悔しいんだよ。毎年おまえの思い通りになるのって、どーなの」
「え?」
「よーく思い出せ。あれは一昨年のバレンタイン。おまえホワイトデーのお返し、俺になにくれた?」
「時計だよね」
「ただの時計じゃねーだろ。ブルガリ! あんな高級腕時計、高校生がホイホイ買うなよ!」
「だって、弓弦さん3倍返しって……」
「小学生からやり直せ」
「気持ちの問題でしょ。それぐらい嬉しかったってことなんだから。ねえ弓弦さん、あの時計どうしたの?」
「返品できねーって言われたから、クローゼットの中」
「……使ってくれないんだね」
「あのさぁ、高校生に見合うシロモノか!? せめて成人してからだろ。……あー話が脱線した。次! 去年のバレンタイン!」
「去年は……特になにも」
「したじゃねーか。わざわざ宅急便でチョコ送りつけるとか、手の込んだことしやがって」
「おいしかったでしょ」
「大半は妹に食われたけどな。スッゲーうま……、……うまかったけど。でも今年のバレンタインは中止だ。俺は芹生にやんねーし、芹生からのチョコもぜったい受け取らない」

語尾に確固たる意志をこめて言い切った。俺は今年、ほんとうに何も用意していないのだ。
ちらりと芹生の様子を伺う。芹生は黙り込んでいた。怒っているのではない。片眉が微妙にあがっているのは、困っているときのクセ。

「そっか、わかった」
「あ?」

芹生はにこっと微笑んで、歩き出した。

「カレー、兄貴がうまいって教えてくれた店があるから、そこでいい?」
「うん……。って、芹生、おまえさ」
「なに?」
「何、じゃねーだろ。もっとツッコんでこいっての」
「それは夜にね」

芹生らしからぬ冗談に、俺は思いっきりむせた。

「つっ、つまんねーこと言うな!!」
「だって、弓弦さんはヘンなところで頑固だから、こうと決めたら絶対に覆さないでしょ。いいよ。残念だけど、今年のバレンタインは中止。俺も弓弦さんも、チョコレートは贈り合わない。……だよね?」
「お、おう」

……妙だ。こいつ、こんなに物わかりが良かっただろうか。いつもはもうちょっと食いついて、駄々をこねるんだけどな……。ヘンだ、なにかある。こいつは良からぬことを企んでいるに違いないと、俺の脳内で警鐘が鳴っている。



=================



気がつけば、俺はカレー専門店のカウンター席に座っていた。

「はっ! いつの間に……」
「弓弦さん、なんかブツブツ言ってたからメニュー俺が決めちゃったけど、いいよね。甘口が好きなんだっけ」
「え、あ、……おう」
「ライスよりナンがおすすめらしいよ」
「へ、へぇ」

店内を見回すと、平日ながら夕食の時間帯のせいかほぼ満席だった。客層は幅広い。
……けど、どうにもカップル率が高いような……。バレンタインのせいか? いや、でもバレンタインとカレー屋って関係ねーし。

運ばれてきたカレーライスはコクがあって、わりと甘いのにくどくなくて、めちゃくちゃウマかった。絶賛する俺を見て、芹生がひとくち頂戴とせがんできたほどだ。
あいつ辛党のくせに、めずらしいこともあるもんだな。
カレーをたいらげた頃には、さっき感じた一抹の不安などどうでもよくなっていた。

今年は平和だ。



=================



「たーだいまー」
「おかえりーユヅにぃ! ……あれ? ご飯食べてきた? カレーみたいなにおいする」

兄を出迎えた妹は、帰宅した俺の胸元に鼻を押しつけ、制服の匂いをくんくんと嗅ぎはじめた。

「おいコラ、まとわりつくな暑苦しい」
「どこどこ? どこのカレー屋さん? 誰と行ったの? 今度あたしも一緒につれてってー!」
「アホか。おまえなんか連れていけっかよ」
「どうしてよ! あ、わかった。せりょーさんとでしょ! ずるいーっイケメンを独り占めするなー!」
「もー、うっせーな。ホラ、割引チケット貰ったからこれで友達と食って来い」
「ラッキー! ……あれっ、ここ『ショコラマリー』だ」
「知ってんの? つーか、カレー屋なのにショコラ、って……」

……ん? ショコラ?

「ユヅにぃってば、おっくれてるう。しょうがないかー、トレンドに興味示すひとじゃないもんね。チョコレートを隠し味に使った有名なカレー専門店じゃない。このあいだ日本初出店! ってニュースになってたの。女の子に大人気なんだよー。1回行ってみたかったんだよねっ、ありがとユヅにぃ!」

……なんだって。チョコ、レート……!?

俺はすぐさま携帯電話を取り出し、リダイヤルを押す。
くっそおおお、やられた……!
生意気だ。生意気だ。生意気だ! 芹生のくせに!

コール2回で出たあいつの第一声は、こうだった。


『今年もハッピーバレンタイン、弓弦さん。俺からのチョコレート、おいしかったでしょ?』

 

■END■


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